大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和25(れ)390 判決

主 文

本件各上告を棄却する。

理 由

被告人両名の弁護人伊勢勝蔵の上告趣意第一点について。

原判決は被告人B、同Cの各検事に対する自白及び右自白を優に補強するに足る

と認められるAに対する検事の各聴取書中の供述記載その他原判決挙示の各証拠を

夫々綜合して判示各事実を認定しているのであつて、右各証拠を綜合すれば十分判

示事実は肯認し得るのである。そして所論被告人両名に対する各検事聴取書を検討

しても被告人等の前記自白が当該取調官の強制に基くものであることを疑うに足る

形跡は何処にも発見し得ないのみならず記録について調査しても、その自白が不当

に長く抑留又は拘禁された後の自白に該当することがみとめられない。

然らば原判決が所論被告人等の各検事に対する自白を本件罪証に供したことは、

少しも採証の法則に違反しないのみならずその他原判決に所論のような理由不備の

違法のあることは認められない。よつて論旨はすべて理由がない。

同第二点について。

先つ弁護人は原審が昭和二四年一〇月一八日の原審公判廷において被告人Bの弁

護人沢田建男が申請した証人のうちAのみを採用しその余の申請全部を却下したこ

との違法を主張するが申請にかゝる証人の採否はそれが法令又は経験の法則に反し

ない限り事実審裁判所である原審の専権に属することであり記録を精査しても原審

の右措置が法令又は経験の法則に反することは認められないからこの点の所論は失

当である。

次に同年一二月八日の原審公判廷において前記証人Aを訊問するに当り原審が同

証人に宣誓をなさしめなかつたことは記録上明らかであるが旧刑訴第二〇一条第一

項第三号(原審公判調書に同条第三項の規定に該当するとあるのは同条第一項第三

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号の誤記と認める)は被告人と共犯関係ありとして有罪の確定判決を受けた者をも

包含するものと解すべきであるから(大審院昭和四年(れ)第四二七号同年五月三

〇日判決参照)原審が右証人に宣誓を命じなかつたことは正当であつて右証人に宣

誓をなさしめなかつたことの違法を前提とするこの点の所論は採用の限りでない。

更に原審裁判長がなした証拠調に関し同年一〇月一八日附原審公判調書に論旨摘

録のような記載のあることは所論の通りである。然し公判廷において証拠調をした

書類を公判調書に記載するには如何なる書類について証拠調がなされるかを明確に

すれば足り必ずしも書類の一々について個別的、具体的に掲記する必要のないこと

は既に当裁判所の判例とするところであつて(昭和二二年(れ)第二七七号岡二三

年四月八日第一小法廷判決参照)前記公判調書の記載に徴すれば論旨指摘の書類全

部について適法な証拠調がなされたことが窺えるのであるから原判決挙示の各検事

聴取書についても適法な証拠調が行われたものといわなければならない。従つて右

各検事聴取書について証拠調が行われていないとする所論は当らない。

これを要するに原判決には所論のような違法は少しもないから論旨はすべて理由が

ない。

よつて刑訴施行法第二条旧刑訴第四四六条により本件各上告を棄却すべきものと

し主文の通り判決する。

以上は裁判官全員の一致した意見である。

検察官 小幡勇三郎関与

昭和二五年九月八日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 塚 崎 直 義

裁判官 霜 山 精 一

裁判官 栗 山 茂

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裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

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